服部明世理事長の急逝を悼む

 平成26年4月1日、衝撃のファックスが研究室に入りました。NPO法人国際造園研究センター服部明世理事長、ご葬儀の知らせでした。「嘘やろ」と一瞬目を疑う。と申しますのは、3月27日に当法人の平成26年度総会の内容について理事会を開催したばかりで、その四日後にこの知らせ。総会の講演に、わが国の植栽基盤研究の第一人者である東邦レオ(株)の木田幸男博士をお招きしようとの声が上がり、それは名案と服部理事長は喜ばれ、清水正之前理事長、吉田昌弘副理事長、繁村誠人専務理事、糸谷正俊常務理事の指導を受け、総会の骨組みをつくったところでした。それから引き続き四木会、理事会の恒例の行事、懇親会でしたが、服部理事長は、少し風邪気味のようで「今日は帰る」と席を立たれ、それが最後のお姿でした。

 3月28日に私は、木田博士に講演依頼の手紙を書き、折り返し木田博士から快諾の電話をいただいた4月3日が、皮肉にも服部理事長のご葬儀の日でした。この五日間はあまりにも非情な時の流れでした。国際造園研究センターとしては、昨年6月に服部新理事長をお迎えし、新たな体制の下で造園界を活気づけようと、意気軒昂の時でした。

 服部理事長の功績は、私如きが申し上げることではありませんが、建設省(現国土交通省)時代におかれましては我が国の公園緑地行政はもとより、国際花と緑の博覧会などを統括され、緑の医療効果で造園界初の医学博士の取得、官房審議官を最後に、大阪芸術大学教授に転身され、造園教育に情熱を捧げられました。

 個人的には、技術士試験の面接官として質問を受けました。「貴方は緑の医療効果をご存知ですか?」と聞かれ、私は「あ、それは知りません」と答えると、少し険しいお顔になられました。私は服部先生の学位論文の内容を知らなかったので、当然のことでした。帰りの新幹線では「あかんわ」とヤケ酒をあおりましたが、合格通知をいただき、服部先生の広き見識とそれにも増しての人を思いやる心に感謝した次第です。

 国際造園研究センターは、突然の悲報に深い悲しみに包まれています。新たな羅針盤を失い、私個人としては、どうすればよいのかわからないのが今の気持ちです。でも、この一週間の動きと服部理事長の偉業を皆様方にお伝えしなければならずと思い、厚かましくペンを取った次第です。服部明世理事長のご冥福をお祈り申し上げます。


NPO法人国際造園研究センター理事 中橋文夫